在日留学生の文学作品を対象にした

「ボヤン賞」を設立する

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宮崎学である。 

詩人のボヤンが退院した。で、この7月に中国へ帰国するという。

   英治出版の原田君は「それなら、印税の形でもなんでも原稿料を払わなければ」とざっと70万円から100万円ぐらいになる計算で支払いを申し出たが、ボヤンは「日本のみなさんのおかげで、私は自分が予想もしなかった詩とエッセイを出版していだだいた。それだけでも十分すぎる仕合わせです。それは要りませんから、宮崎さんの良いように使ってください」ということであった。 

 70万円というと、まあ、わしにとっては麻雀で一晩で稼げる。しかしながら、時給1000円でコンビニでバイトして、家族とわかれて6畳一間のアパートに住んでいた、7年間の努力で修士号をとった中国青年にとっては大金である。まして、この夏、帰国しても就職先のないボヤンにとって、中国なら日本の十倍の使いでがある、内モンゴルにいけばもっとすごい価値になるだろう。にもかかわらず、「要らない」いうんや。となるとこれは、金額の問題ではなくココロザシの高さの問題である。この金にはそれにふさわしい役割をみつけないと、日本人が恥をかくことになる。

 で、住枝檸檬屋主人および、ボヤンの詩の師匠の荒川洋治氏らと相談した結果、ここに日本にいる留学生による文学作品を対象にした「ボヤン賞」をつくることにした。賞品はトロフィーで副賞は30万円。ボヤンと同じ金額をわしも出して基金にするから、まあ、5年ぐらいはもつやろ。 現在、たまたまその話をしているとき檸檬屋に居合わせるという不幸な目にあった某大出版社の有能な社員が規約を作っているので、連休明けにはその方面に詳しい荒川氏がチェックして、募集要項がでけるはずや。おどろくやんけ、明治以来約150年も経ってるこの国にいまだかって留学生の日本語を評価する賞ちゅうのがあらへんちゅうんや。これまで何人ものボヤンをむなしく帰国させてしもた、ちうことなんやろう。

ボヤンにいうたら「名前を変えてほしい」ゆうとったけど、強引に説得してしもた。「宮崎さんと住枝さんの名前のほうがいい」というておったが、住枝とわしやったら「SM賞」とかになってしまうやんけ。あほかいな 賞の値打ちは受賞者できまるんやのに、そんな名前では受賞者みな逃げてしまうやんけ

 ところで、檸檬屋には、「読んで感動した」という年配の婦人から、ファンレターも来ておるらしいが、どうも本屋で「懐情の原形ーナランへの置き手紙」あまり見たことない。ファンド出資者はどうおもうかしらんけど、出版やった原田君にそういうたら「1200部ぐらいはでています。このような良い本は良い読者に、たとえ時間がかかってもめぐりあってほしいから、5000部が捌けることより、そっちが大事ですんで」とか、今時、良く言えば古風、わるゆうたらアホなことをいうているのだ。今は、今日出版したら明日は本やにならんで、あさってはゴミというのが当たり前の時代にやがな。アホであるが、まあ、ボヤンもその意味ではアホやしええか。

   で、アホついでに、わしは「ボヤン賞」の副賞を募集する。それは、たとえば檸檬屋のとなりのヤキトリ屋のオヤジが「それならボヤン賞受賞者にはうちでヤキトリをおごる」というたから、これを副賞とする。

  なんでもええ。このホームページをみておる諸君が無理なくできる範囲でよろしい。「うちのラーメンをタダで喰わせる」というのでもええし、「うちのジャン荘でタダで打つ権利」とかでもよろし。詩人なら「ボヤン賞受賞者に捧げる詩」とかでも良い。不動産屋ならアパートさがしたる、とか、銭湯なら入浴料タダ、とか本屋なら辞書を寄付する、とか、この賞をもらったニンゲンを、日本人がみんなで歓迎するという意味だ。1000を目標にする。ノーベル賞は権威の高さで威張っておるが、あれは元々、戦争の火薬でもうけたゼニや。副賞が1000もついたら、「ボヤン賞」の方が上等になるんである。ネット上でいずれ募集するよって、全国から応募してほしい。なに、受賞者が間違ってもいきそうにない超奥地の山小屋の一泊無料宿泊券でも、イナカの寺の無料拝観券でもよろしい。ソープの風俗嬢なら・・・いや、まあ、そういうことで

 

 で、賞品のトロフィーは、そもそもの発端を記念して、檸檬に矢の刺さっているデザインにすることにした。あはは。これを金と銀でつくる。なに、大きさは2センチぐらいでもええがな。ケータイにつけたらええ。

 

 ほんまは賞金も201万円にしたかった。日本で一番タカイ賞ちゅうのが某大新聞社の200万円ちゅう情けない話やからな。社長自ら「クビや」と脅かしている役にたたん野球選手に2億も3億も払っているとこやでえ。しかし、そんなゼニはとても原田君の出版社の売り上げからはでそうにないしな。しかしながら、篤志の方がいて、それやったらアホな息子に財産残してもしゃあない、とこのボヤン賞の趣旨に賛同して寄付などしてくれたらよろこんでそうする。

 

   そういえば、昨日は、檸檬屋のオヤジが「友達の医者にみてもらったら、心筋梗塞になる可能性が90%と言われた」としょんぼり水をのんでいた、という報告がおつかい係からあった。檸檬屋のオヤジが水を飲むなどいうことは、まずないことで、だから雨が降ったのだというておった。おつかい係のみたてでは「まず、年内持つかどうか」というておったので、今後檸檬屋にいく党員、組員は全力を挙げてオヤジが酒を飲むのを阻止するように。もっとも「当人の飲んでいるウーロン茶に指をいれて味をみたら焼酎の味がした」という話もあるのでユダンしないように。第一回ボヤン賞の選考ぐらいまでは生きていてほしいものであるからだ。

  死にかけている檸檬屋のオヤジに組員は余計な心配をかけたらあかんど。

                               ほならまたな。

 

                                   2000/4/2  宮崎 学 

 

 

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