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奨励作品賞 檸檬屋賞

詩3編   旦那へ   ただいま   色節

ベーグ・テオドーラ

女性   ハンガリー 1983年生まれ
受賞時: 沖縄県立芸術大学 デザイン専攻

旦那へ

実は、君の沈黙が今でさえ解けないことがよくある
言ってくれないことはたいしたことじゃないと思いがちだ
そう間違えて君を何度も傷つける

君は気高くたくましい木のごとく
私はこの木のそばで遊んでる
木漏れ日を眺めたり、
幹を登ったり、
新緑の葉っぱで首飾りを編んだりする
そして君の花を耳につけ、
おいしい実で養われてる
君は、私の気づかないうちに、静かにだんだん熟してて
年輪ごとに英知を重ねる
心の襞も私の知らぬ間に不思議に増えてる
秘密の迷路みたいな根の底で
喜びも寂しさも痛みも同等に鼓動してる
でもでも
枯れてしまった根枝もある
無言の嫉妬か、失敗、果たせない夢にかまれて腐ったもの
のんきな私はいつもそれにまったく気づかない
でもでも
今さら手を止めて立ち止まる

鳴くのもやめて、枝から降りる
地面に寝て、目と手のひらを香りのある土に据える
待ってて
体も心も奥底に向いてる
枯れた根枝を痛む
自分が殺したものもあるから、涙がほろほろ出る
でもでも
生きてるものと心拍が一体となって
鼓動ごとに希望が湧く
私たちは
過去がある―思い出いっぱいの
現在がある―心を奮い立たせるもの
将来がある―生きるべきこと

私は落ち着いて
君の木の陰で
香りのある土に寝る
私の目の前の君も、目に見えない君も
あいしてる

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ただいま

時折疲れ切ってしまう
それは、体がばてるということではない
蒸し暑さでくたびれるわけでもない
睡眠不足のせいでもない
ただ心が飽きる

私は
巻貝を七色に飾り
触角を常に世界に開けてる
カタツムリ

でも、時には
隠れるため勇気をためて
巻貝の中に籠ったらいい

心が飽きるとき
一寸黙って、一寸の光陰だけ
帰る

巻貝は家、遺産、宝物
包まれた心の雑貨で数え切れない

おじいの畑で取れたてのポリポリの葡萄
お父さんの笑顔、兄の教え
姉が紡ぐことばの糸の光
お母さんのそよ風でゆらめく不安
友人とのビールのポクポクのよう
無数のおいしいからかい

十代のころの落書き

夏休みの
のろのろ
ぼろぼろ
列車

空の杭みたいな教会の塔から響く
お昼の鐘鳴らし

火傷のごとくの失望
絹の恋愛、七色の調和
辛い反抗
子供として理解できない
大人になって了解したくない教訓

雪のない灰色でうすら寒い
都の冬

一晩中の裸足のダンス
夏の夜

イライラ
高校のベルはまだ

秋で収穫の後
トウモロコシの皮の香り

休息した
七色の巻貝は
生活の細道で迷子になったら
甲冑のごとく守ってくれる

それで、再出発
日本も
巻貝の内になる日を
楽しみに

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色節 〜琉歌にのせて〜

瞳の代わりに
万華鏡があり
同じ光でも
色々色

今日の太陽は
かぼちゃ色に塗り
海に飛び込むさ
連れて行って

でも今晩はね
岸で待ってるさ
夜の花びらを
数えている

モノレールからの
那覇町の夜景
千匹の蛍
生きているさ

灰色の夜明け
雨の子守唄

星を数えても
忘れちゃった


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