劉 暢 (リュウ チョウ)
略 歴:
1975年3月4日生 女 中国
2000年に北京外国語大学修士課程卒業後、2002年より神戸大学文化学研究科博士課程へ。
現在、2年在学中。
私は自転車を漕いでいる
雲が悲しそうに私を遥かから見つめながら
流転して行く
車が通りすぎる
橋がかすかに震えている
船が穏やかに進んでいる
私が自転車を漕いでいる
すべてが一つにあり、すべてがバラバラにある
私は雲を孤独にし、雲は私を孤独にする
自転車、サラリーマン、バイトの学生
忙しそうなトラック、進む汽船
朝なのに、通り過ぎたやつれた顔と顔と顔
喫茶店に入った
急に空気が軽くなる
ピアノの音楽が流れ
奥深い香りが漂っている
自分の中に浸かっている
沈思黙想の横顔が映り
煙草の軽い煙が
落ち着いた空間の中を
優雅な弧線を描いている
重い世界と軽い世界の間を
行ったり来たりする私は
平衡感覚を失い
めまいがする。
彼は普通に背が高く、眼鏡をかけている
頬が膨らんでいて、うれしい時は小さな丸い丘を作る
いつも髭がきれいに剃れずパサパサしているのに
繊細なラインを描いている唇は妙に気さくの中に敏感さを仄めかす
眼鏡の後ろに小さくもない大きくもない目がある
時には、冷たく何かをからかっているような眼差し
時には、子供のようにうれしく輝いている
幸せな時、彼は眼球を上に翻し、ほんの少し可愛い白を見せる
驚く時は精一杯大きく丸め、唖然とするような鯉の顔になる
この顔は
愛で柔和になり
怒りで歪む
咎めで口を高く尖らせ
褒め言葉で眉を上へ上げ、恥ずかしそうになる
本当の心が現れる
夫の顔は
浮世の中の
私の癒し
今日は「9・18」
七十年余りの前
母の母
その友達の友達
日本人に家を奪われ
日本語を勉強させられ
心を踏み躙られ
悲しんで、怒って、泣いていた
二〇〇四年の土曜日の午後
私は夫と一緒に日本で食事をする
コーヒーを飲み、ポテトを食べる
新聞を読み、コマーシャルのチラシをめくる
音楽が流れ、子供の笑い声が交じっている
夏の終わりが
ゆったりと渡って行き
私の肩にふっと息を吹いた
1931から2004へと
時間は
嘆きをせずに
滑らかに
散歩している
2004年の最後の一日
雷が鳴り、雨が降った
年越しの縁起なんかに構わない私だけは
豪快奔放で
自由気ままだよ
と言わんばかりに
銀杏の落ち葉が舞い降りて
道一面に散らばっている
時間の過ぎ去りを
静かに歌う
黄色い音符みたい
隣の席に小さな女の子がいる
雛のような新鮮で、純粋な声を出している
目が会うと
澄んだ瞳でこちらを見つめ
微かに微笑む
それは
私の二〇〇五かな
雨の中での筍
古い節が依然と貫いていながら
幼い芽が頭を擡げようとしている
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